L08-友情と恋愛の行方/シェイクスピア

「友情の多くは見せかけであり、恋の多くは愚かさであるにすぎぬ」(シェイクスビア)

イギリスの劇作家シェイクスピアは、48歳で筆を絶ち、3年の隠居生活ののち、この世を去りました。

遺産の分配で、妻アンには、「3番目のよき寝台」しか与えなかったといいますから、大文豪も結婚生活には恵まれなかったのでしよう。

最初の言葉は、喜劇の「お気に召すまま」から。

友情とか恋愛と聞くと、何かしら永遠に美しいものと思いがちですが、彼は疑いの目を向けています。そこに、人間の虚偽とエゴイズムを見たからです。

変わらぬ友情やエンドレスラブなどと、過大な期待を抱くと、幻滅したり、こんなはずでは、と余計に苦しむことになりかねません。

友情も、欲がからむともろいもの。

「借金の申込を断ることによって友だちを失いはしないだろうが、逆にお金を貸すと、とかくその友だちをなくしてしまいやすい」

と言ったのは、ショーペンハウエルでした。


友情の多くは見せかけであり、恋の
多くは愚かさであるにすぎぬ(シェー
クスピア)
「恋愛とは、性欲の美的表現である」

とズバリ言った人もあります。

高校時代に読んだ武者小路実篤の小説は、きれいごとすぎて、ついていけませんでした。「読者はせいぜい中学生止まり」と言われるのはそのためでしょう。

ところで、人間は一体いくつまで性欲に悩まされるのでしょうか。

大岡裁きで有名な越前守が母親に尋ねると、黙っていろりの灰を火箸でかきまぜているだけでした。釈然とせぬままその場を去った大岡越前、あとでポンと手を打って、

「なるほど、灰になるまでか」

「恋愛に年齢はない。それはいつでも生まれる」(パスカル)

人間は煩悩のかたまりですから、死ぬまで愛欲の悩みつきない存在なのです。