L09-全人類のウソ/ドストエフスキー

「人生においてなによりもむずかしいことは――ウソをつかずに生きることである……そして自分自身のウソを信じないことである」(ドストエフスキー)

世の中に、ウソをつかずに生きることのできる人は、いるのでしょうか。
ある小学校の先生が、
「みなさん、どんな人と結婚したいですか」
と生徒に尋ねました。

「はーい、やさしい人」
「料理の上手な人」
「ものを大切にする人」

いくつか続いたあとで、一人の男の子が、
「ボクは、ウソのつかない人」
と言った時、先生が言ったそうです。

「それじゃ、結婚できませんよ」

小学生にわかったかな。


地球よりも重いはずの命をすりへらし
てまで、金儲けに狂奔している借金
が返せなくて、自殺してゆく・・・。
「人命は地球よりも重い」といいます。ヒューマニズムの象徴とも言えるこの言葉を、真っ向から否定する人は、まずないでしょう。

しかし、みんな本心からそう思っているのでしょうか。

「金は地球よりも重い」と言ったら、何をバカな、と誰もが一笑に付すはずです。

ところが、現実には、地球よりも重いはずの命をすりへらしてまで、金儲けに狂奔しているではありませんか。借金が返せなくて、自殺してゆくではないですか。

権力者のタテになって、自殺させられた秘書もいたそうな。

「万人は平等だ。人類はみな兄弟だ」といえば、誰もが賛同するでしょうが、ではどうして民族紛争が絶えないのでしょう。

冷戦終結後、欧米各国は、古くなった兵器をアジアに売りさばいています。兄弟同志、殺しあえ、というのでしょうか。

たてまえだけの「万人平等」なら、大変な偽善です。美しいウソに陶酔しているのなら、早く目をさまさなければなりません。

“なぜ、人命は地球よりも重いのか””なぜ、万人は平等なのか”
その本当の答えを、私たちは探し続けているのです。