S02-宇宙に創造主の出番はない/ホーキング

「宇宙が本当にまったく自己完結的であり、境界や縁をもたないとすれば、はじまりも終わりもないことになる。だとすると、創造主の出番はどこにあるのだろう?」(ホーキング)

車椅子の天才科学者として知られるイギリスのスティーヴン・W・ホーキング博士は、世界が注目する現代最高の理論物理学者です。

彼が、宇宙創成の謎に挑んで著した『ホーキング、宇宙を語る』は、17ヵ国で大ベストセラーになりました。

この中でホーキングは、相対性理論と量子論を統合し、「宇宙には境界がなく、始まりも終わりもない」という、宇宙像を描き出しています。

これは即ち、次のことを意味します。

”宇宙に創造主の出番はない”


宇宙には境界がなく、始まりも終わりも
ない(S.W.ホーキング)
1925年、ソ連の数学者フリードマンが、アインシュタインの一般相対性理論の方程式を解いて明らかにしたのは”膨張していく宇宙”でした。

これが「ビッグバン宇宙論」の基礎をなし、神学者たちは天地創造の解釈に採用してきました。

ところが最近、メキシコ、サラマンカ大学のホセ・セノビリャ博士が、ビッグバンのような宇宙の開始点のない、もう1つの解答を発見したのです。博士によると、宇宙は無限の過去から存在し、永遠に存在しつづけるといいます。

こうした、現代科学の最先端をゆく新しい宇宙論は、欧米の知識人、宗教家たちに大きな衝撃を与えているようです。

しかし、釈迦の教法を知る人にとっては、決して耳新しいものではありません。むしろ、創造主の存在を否定し、宇宙は成住壊空の輪廻をくり返すとする仏説に近いといえましょう。

宇宙の研究が今後進むほど、仏陀の教えを裏づけることになりそうです。