S03-科学者の大半はどうでもいい研究をしている/利根川進「大半の学者は、何が本質的に重要か、見分けがつかないから、どうでもいいことで一生を終わっている」(利根川進) 刺激的なこの言葉の主は、昭和62年、日本初のノーベル生理学・医学賞に輝いた利根川進教授です。 遺伝子の分野で、「100年に一度の大研究」が認められた、とか。 この利根川さん、インタビューに答えて、歯に衣きせぬ発言をズバズバ。中でもこれは、きわめつけです。 同教授によれば、 「科学者の大半は、その手のどうでもいいことを研究している。科学者を自称して、科学をメシのタネにしてはいるけど、科学から見たら、いてもいなくても関係ない」 と辛らつです。 科学のプロが、どうしてそうなってしまうのでしょう。 「結局、何が本当に重要なのかを充分見きわめないうちに研究をはじめちゃうからです。科学者の一生の研究時間なんてごく限られている。研究テーマなんてごまんとある。ちょっと面白いなという程度でテーマを選んでいたら、本当に大切なことをやるひまがないうちに一生が終わってしまう。だから、これなら,一生続けても悔いはないと思うことが見つかるまで研究をはじめるなといってるんです」
人間の一生も同じ。 人間の一生なんて、限られています。しかも、一休の狂歌の通り、「人生は、食て寝て起きて糞たれて、子は親となる、子は親となる」 人生の3分の1はフトンの中。台所と便所の往復は欠かせません。色気づいて結婚したら、子育ても大変。つまらぬことに血道をあげていては、大事を失してしまいます。 利根川進さんは、こうも言います。 「若いときに大切なのは、本当に重要なものを判断できるジャッジメント能力を身につけること」 限られた人生、本当にやらねばならないことを見つけるのが、最優先課題と言えましょう。
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