T08-真実とウソ/バーナード・ショー

ウソつきに与えられる刑罰は、彼が人から信じられないということではない。むしろ彼が誰をも信じられないということである。(バーナード・ショー)

”泣くも笑うもウソの世の中”と言われるように、人生には大小さまざまなウソ偽りが横行しています。

「拝啓皆々様にはいかがお過ごしでしょうか、日夜、案じております……」ふだん思ってもいない人に、こんな手紙に書いて平気です。

「これを買ったら幸せになれますよ」と、ただのツボを数千万円で売りつけたり、「オレ、オレ、オレだよ!」と言って、老人からお金をだましとるなど、悪意にみちたウソもあります。

心コロコロの我が身を忘れて、「必ず幸福にするから」などと婚約すると、やがて、心のクイがスポンととれたら「愛情がなくなりました」というハメになります。無知からくるウソでしよう。

精緻な分析と論理に彩られたウソもあります。


どんな壮大なイデオロギーも、都合よく何かを
前提としている限り、その前提が崩れたとたん
に、総くずれとなる。
マルクス・レーニン主義といえば、かつては人類の希望のように崇められていたのが、今やまったくのウソっぱちであったことが暴露されました。

それを売り物にしてきた進歩的な学者センセイたちは誰からも相手にされなくなり、のみならず、自身の人生に信ずるものを失って右往左往しています。

どんな壮大なイデオロギーも、都合よく何かを前提としている限り、その前提が崩れたとたんに、総くずれ。

「どうせ世の中ウソっぱちさ」

と安っぽいニヒリズムをみても、心は空しいばかり。

ウソをウソとも思わぬほどウソにまみれているのが、私たちの姿。だとしたら、そんな私たちが信じ切れる真実が、この世に、果たしてあるのでしょうか。